大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)1439号 判決

原判決はその摘示に係る被告人の犯罪事実の証拠として広瀬房蔵の司法警察員に対する第二回供述調書を引用したこと並びに右調書については原審第二回公判廷において検察官からの証拠調請求に対し被告人の原審弁護人から刑事訴訟法第三二二条の適用ある書面として取調に同意したことは孰れも記録によつて明らかであるが、(右公判調書に同法第三三二条により同意の旨記載あるは同法第三二二条の誤記と認める)、右広瀬は被告人と共犯者として起訴された共同被告人であり、刑訴法第三二二条にいわゆる被告人には斯ように共犯者たる共同被告人をも包含するものと解するを相当とするから、広瀬の前記供述調書記載を採つて被告人の犯罪認定の証拠に供した原判決には所論の如く同法第三二〇条の伝聞証拠排斥規定に違背するわけはない。論旨は理由ない。

同(三)について。

被告人に対する原審第五回及び第六回公判調書記載によれば、被告人は昭和二五年九月一四日の第五回公判廷において自己に対する本件起訴事実(昭和二五年六月三〇日附起訴状記載の犯罪事実中第三の一、二の物分)を読聞けられて、そのとおり相違ないから別段陳述することはない旨答え、その後同年一〇月三日第六回公判廷において再び右起訴事実について尋問されたときも初めは全面的に之を認めて居りながら同公廷のその後の過程において所論の如き否定的言辞あるに至つたものであるから、斯る場合には右第五回の被告人の供述は第六回の初めの供述によつて裏付けられる性質を帯び、之を採つて被告人に対する起訴事実肯認の証拠とするに何らさしつかえはない。所論に援用の判例は被告人がその冒頭陳述において起訴事実はそのとおりで陣述することはない旨述べた後直ちにまた全般的に否認した場合に関するもので本件の場合の解釈に適切ではない。故に原判決には所論のような採証法則違反の点はなく、論旨は理由ない。

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